二十世紀の成長する都市の時代から二十一世紀の成熟社会の時代へ。人口減少、超高齢社会、大規模災害、地球温暖化などの諸問題に対応した新しい建築像・発想が求められています。建築学科では、建築スケールから都市スケールに至る生活空間を取り上げ、建築の設計に必要な専門知識、建築設計図面や建築模型の製作技術などの習得を目指します。なお、本学科の教育プログラムは、国際水準の技術者教育プログラムとしてJABEEの認定を受けています。
建築計画系
各種建築物の機能およびそのマネジメント手法、都市ならびに地域の計画や景観保全、私たちが受け継いでいる歴史文化、さらに建築形態を構想する際の思考技術など、建築物のデザイン・計画のための多彩な研究が行われています。自ら設計した作品について、学外にてプレゼンテーションする機会も設けられています。
建築環境設備系
環境設備デザイン講座では、建築内空間のみならずその周辺環境下での熱・空気・音・光環境を適切に制御し、人間・建築空間および地球環境にとって、より望ましい環境を実現するための研究を行っています。
建築構造系
建築物の構造設計法、建築材料の品質・耐久性評価、建築生産などに関する教育を担当しています。研究テーマとしては、鋼・鉄筋コンクリート・木の各種構造の耐震性能および材料特性に関する研究や、地震などの自然災害に対する地域防災に関する研究などを行っています。
教員からのメッセージ
紀元前5世紀に建てられたギリシャ・パルテノン神殿、7世紀に建てられた法隆寺五重塔は幾多の強い地震に耐えてきました。法隆寺の建築技術は大陸から仏教とともに伝わったとされていますが、その起源は、遠く、ギリシャ・ヘレニズム文明までさかのぼることができます。
そして、ふくらみのあるエンタシス石柱などの形態だけでなく、地震にも強い構造的な特徴をもつこともわかってきました。歴史的に、強い地震にも耐えてきた日本や世界の古代建築はそれぞれ固有の優れた耐震性を有しています。もちろん、創建当時のままではなく、先人たちによる修理の歴史がなければそれらの建物は残っていなかったでしょう。
これからは、よい建物を建てて、それを長く使う時代です。三重県とその周辺には、多くの歴史文化遺産があり、それらを災害から守ることも大切です。古代建築の技術、さらに、維持・修理の歴史、それを科学の目を通してみる。そんな研究活動を続けています。
建築工学科・教授 花里 利一