分子素材工学は,化学の観点から科学技術を展開する学問。具体的には,社会生活をより豊かにする新しい機能を持った物質や素材の開発です。これらの新物質や新素材は,新たな機能を持ったシステムを構築することにつながります。たとえば,エネルギー問題においては,新たな化学エネルギー変換技術や省エネルギー技術の開発が要請されています。地球環境問題に関しても,化学的観点からの技術・計測法の開発を試みています。さらに,新たな化学合成法や生物工学技術を駆使することで,医療分野などへの貢献も期待されています。
分子設計化学講座
高分子設計化学
高機能性を有する有機高分子材料(燃料電池用プロトン伝導性電解質膜,リチウム電池用イオン伝導性高分子固体電解質材料,ソフトマテリアル材料,コンタクトレンズ材料,有機・無機ハイブリッド光学材料など)の開発に関する研究を行っています。
有機精密化学
現代生活は,機能性材料や医薬品など多様な有機化合物群の上に成り立っています。人に優しいファインケミカルズを合成するための環境調和型有機合成プロセスの開発,新規生理活性化合物および機能性材料の開発を目指して,「有機ものづくり」の研究を行っています。
有機機能化学
電子的・磁気的・光学的に有用な機能をもつ有機材料の創製を目指して研究を行っています。そのために,理論に基づいて設計した新しい有機分子の合成と,先端機器分析による物性・反応性の評価に取り組んでいます。
計算化学
量子化学計算から,化合物の物性および化学反応をシミュレーションして予測をします。現在,特に2核以上の金属酵素を対象に,その触媒機構(反応機構)の理論的解明と,イオンチャンネルのイオン選択性の理論的研究を行っています。
生物機能工学講座
エネルギー変換化学
無機固体物質の機能性材料への応用という観点から,材料合成・構造解析・物性研究を行い,リチウム電池・燃料電池等の新規電極・電解質材料の提案や,自動車用蓄電池技術の実用化に向けた研究開発を行っています。
レーザー光化学
レ−ザ−,プラズマ,熱などのエネルギーの高度利用から,未来社会をささえるナノテクノロジーでの重要な物質・材料であるナノカーボンや金属との複合体について,その成長技術や応用の観点から研究を進めています。
分析環境化学
サスティナブル(持続可能な)社会を指向する技術の研究を行っています。主に,環境汚染物質を計測する手法,水質を浄化する手法,炭酸ガス(CO2)を還元変換する手法,水素を生成する手法などの環境負荷低減技術の開発に取り組んでいます。
分子生物工学
分子生物工学・遺伝子細胞工学・生化学を基盤とし,主に次世代モノクローナル抗体作製技術の開発,および人工細胞モデルの構築に取り組んでいます。バイオテクノロジーを基軸とした,基礎から応用までの幅広いライフサイエンス研究を行っています。
素材化学講座
有機素材化学
高分子・界面活性剤・液晶などのソフトマテリアルのもつ自己集合性・界面活性を利用し,異なる素材を混合した複雑系材料の構築やその高次構造の解析,さらに新規機能性材料としての応用を視野に入れた研究を行っています。
無機素材化学
無機素材を生かした化学を展開しています。具体的には,石油精製触媒および環境触媒をはじめとする各種固体触媒の調製と反応性,新規無機有機ハイブリッド材料やエコガラスの調製と,ガラスの非線形光学効果の解明に関する研究を行っています。
生体材料化学
細胞や組織の画像および分子生物学的情報を統合した解析を用いて,生体組織が再生・修復する機構を研究しています。さらに,得られた知見を基に生体膜・血管を模倣した人工構造体の開発や,組織間物質透過の研究,および組織再生を誘導する再生医療用材料・
バイオ人工臓器の開発に取り組んでいます。